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染色知識 其の二 〜色彩編②〜

「色」について② 前回から少し間が空いてしまいましたが、其の二を始めます。 其の一では色の見える仕組みと混色方法についてをざっくり説明しました。 今回はトーンについてお話します。 「トーン」とは「色調」のことです。といっても何のことだか分かりませんね。 前回、色は数値で表すと書きましたが、その数値を指定するときに必要なのが「色相」と「明度」と「彩度」です。 それぞれを簡単に説明しますと、 「色相」・・・その色の色味。 「明度」・・・その色の明るさ。 「彩度」・・・その色の鮮やかさ。 はい、漢字そのまんまです。 このみっつの数値を合わせて色を表すことができるのです。 が、そんな数値は色を仕事にしている人以外にはまったく関係がありません(なのでここでは数字は書きません)。 一方トーンは上記の「明度」と「彩度」を合わせた概念のようなもので、つまりはその色から受ける印象で色を言い表したものであり、一般の人にも馴染みがあります。 たとえば同じ青でも明るい青もあればくすんだ青もあります。 この「明るい」や「くすんだ」という修飾語の部分が「印象」ということになり、それがそのままトーンの名称になっているものもあります。 同じ色を見て万人が「明るい」と感じるかどうかはさておき、「明るい」というカテゴリーに分類された青は、誰からも「明るい青」と表現されることになります。 トーンは色彩の世界を広げ、さらにはファッションやインテリアの分野にまで連れ出してくれる、とても素敵なものです。 トーンを組み合わせることによって洋服やインテリアのコーディネイトを行うことができるからです。 これは誰しもが知らず知らずのうちに行っていることで、たとえば毎日の洋服を決めるのにも、「シャツが淡い色だからスカートはダークな色にして引き締めよう」等、実は自然にトーンの組み合わせを考えていたりするのです。 トーンにはいくつか種類がありますが、わたしは中でも「ソフトトーン」の色がすきです。 ソフトトーンは純色に灰色をまぜてできる中間色に分類されます。灰味がかったスモーキーな色というのは見ている人に落ち着いた印象を与え、また明るさによっては可愛らしさや大人っぽさも表現できる、とても素晴らしい色だと

染色知識 其の一 〜色彩編①〜

前回予告しました「染色」についてのお話を始めたいと思います。 少し専門的な用語も出てきますが、それほど難しい話にするつもりはありません。 難しすぎることを覚えるのは嫌いでも、未知の世界をほんの少し覗き見することは大好きという人は多いでしょう。 へえふーんなるほど〜と、分かった気分に浸って頂けたら幸いです。 では、第1回めは「色」について。 世の中には数えきれないほどのたくさんの色があります。 シアン(緑みの青)、マゼンタ(赤紫)、イエロー(黄色) この素晴らしいみっつの色さえあれば、すべての色を作り出すことができる、のです。 極端ないい方をすると、赤と青と黄があればどんな色だって作ることができるっていうこと。ああでもかなり乱暴ないい方ですが。 この三色を「色料の三原色」と呼びます。 一方「色光の三原色」と呼ばれる三色を使った混色方法があり、カラーテレビやパソコンのモニターなどはこの方法で色を作り出しています。 混色、つまり色を作るという方法には大きく分けてふたつの方法があります。 「加法混色」と「減法混色」です。 先ほどのカラーテレビの混色方法が「加法混色」です。 染色は「減法混色」という、色を足すとどんどん暗くなっていく混色法に分類されます。 絵の具がこの最たる例です。 絵の具を混ぜるとだんだん色が濃く、暗くなっていきます。 図画の授業でたくさんの絵の具を考えなしに混ぜてしまうと予想だにしないダークな色ができてしまう。その為すこーしずつ微調整しながら混ぜていった。そんな経験はありませんか。 これが「減法混色」と呼ばれる種類の混色なのです。 染色もそうです。染料を混ぜると暗く濃い色になり、最終的には黒になります。 色彩の世界では色を数値で表すのですが、理想的な黒であるところの明度が0という色は本来存在しません(明度とは明るさを示す数値です)。 なぜか、の話をする前に、では色はどうやって見えているのか?どうして赤は赤に見えるのか?という話をしたいと思います。 その色がその色に見える、ということは物体が光を反射することによって起こります。 ここでいう光とは可視光線、つまり人が目で見ることのできるものをいいます。 可視光線には様々な長さの波